初シャコンヌ
ケンサク 2007/09/23(Sun) 15:27 No.716

高橋真珠(またま)さんという方のヴァイオリンを聴きにいった。

彼女は、にかんだ笑顔が印象的だった。
ゆったり会場を見回して会釈する余裕はないようで、
そそくさとヴァイオリンが構えられた。
プログラムには、バッハのシャコンヌはじめ、
イザイやバルトークの難曲とされる無伴奏のヴァイオリン曲の大作がずらりと6本並んでいる。
だいじょうぶかなぁ? と、まじ心配になった。

でも最初の何小節かで、心配は吹飛んだ。
難曲なんかにはちっとも翻弄されず、
むしろ積極的に攻め入っている感じで頼もしい。
勢い余ってガシッと踏みしめられる靴の音などおそらく自分では聞こえていないだろう。
そのくらい曲の中に入り込んでいる感じが伝わってきた。
時折見せる無我の表情が、美しかった。

演奏後ホールで知り合いに挨拶をしていた彼女は、
舞台を下りるとずいぶんと小柄で、良い意味で普通の女の子といった感じだ。
何人かのシスターも祝福に来ていて、彼女の信仰生活が伺えた。
何かを信じているから、あんなスゴい演奏ができるのかもしれない、と思った。
日々乗り越えていくものは、いくつもいくつもいくつもあるはずだ。
難曲をいくつもこなす前の晩のプレッシャーといったらいかほどか。
わたしなど、想像しただけで震え上がって、夜も眠れない。

ヴァイオリンによるシャコンヌを生で聴くのは今回初めてだった。
いいシャコンヌとの出会いだったと思う。
今でも、耳の中に彼女の可憐に激しく上りつめていくアルペジオが蘇り、心地よい。


がんばりましたね
ケンサク 2007/09/14(Fri) 01:01 No.715
さんざん足を引っぱっておいて、
辞めるとなったらこんどは「投げ出した」はない。
安倍さんが目の前にいたら、よくここまでがんばりましたね、
と言って差し上げたい気持ち。
いろいろ、計りしれないつらさがあったと思う。

暑い最中の天女像
ケンサク 2007/09/08(Sat) 19:31 No.714

今年の暑さは尋常でなかった。
15〜20年間、クーラーはおろか、扇風機・うちわのたぐいも不要だった私も、
今年はクーラーのかけまくりで、すっかり地球温暖化に貢献してしまった。
「ストップ地球温暖化」の鬼と化している妻が、
私が冷房をかけまくっていると微妙に不機嫌だが、
「コンピューターの前はストーブの前にいるのと同じなんだ・・・」と泣きながら訴える、そんな日々であった。

さて、この暑い夏のピークだったとおぼしき8月19日、
その朝、その日が馬込文学圏に住んだ彫刻家の佐藤朝山の誕生日だと分かるや、
じゃあ日本橋三越の朝山の天女像を見に行こう!と炎天下に飛び出した。

東京から歩いて、尾崎士郎もいたという東洋経済新報で寄り道して、
三越の朝山の天女像にたどり着いた。
吹き抜けの4階まで届くという木造の天女像は、
やはりでかく、ここまでやるか!? というこり方だった。
ゴシックだなぁ。
その複雑さに頭クラクラ、目パチクリだ。
1〜4階を何度も行き来して、職人魂を堪能した。

その後、三越の屋上の炎天下でマンゴージュースを飲み、
さらに炎天下をヤマハの一時移転のビルをぐるぐると探し回り、
クレムリでマンゴーシェークを一気飲みして、また新橋まで歩いた。
久しぶりに1万歩超、1,200歩以上歩いた。

家に着いたら、日頃引きこもり状態の虚弱体質の私は
熱にすっかり当たってしまったようで、
3時間くらいむさぼるような夕寝となった。

日頃から少しは光合成しとかないとな。

三越の天女像


暴走するののストッパー
ケンサク 2007/09/05(Wed) 14:14 No.713

創業90年を迎えたとかで岩波書店から「岩波文庫 わたしの3冊」といった冊子を送られて来た。
バラエティに富んだ各分野の識者が答えている。

ペラペラと見ていて、『きけ わだつみのこえ』が断然多いのは
「そうだよなぁ」と普通に納得できたが、
『コーラン』を挙げている人がかなりいるのにはかなり驚いた。

これはイスラムを真剣に理解しようという人たちがいるということで、
この冊子でこれだけいるということは、
他にもそうとういそうである。
政治・経済・宗教・歴史分野の人だけではなく、
例えば音楽家の池部晋一郎氏などが『コーラン』を挙げているのが、スゴい。
音楽をやりながら、やはり地球全体のことを、あるいは宇宙全体のことを考えているんだろうなぁ。

たぶんこういった、他を理解することに重点を置く人たちが、
陰日なたで歴史が暴走するののストッパーになって来たんだろうと思う。

そうそう、『資本論』や『共産党宣言』を挙げている人も複数名いた。
子母澤寛の『勝海舟』にもう2年以上も取り組んでいる超遅読の私には、
しばらくというか、当分というか、あるいは一生手が届きそうもないが、
こういった本もちゃんと読んどいた方がいいんだろうな、ほんとうは。


弱い心と体
ケンサク 2007/08/27(Mon) 18:49 No.712

嶽本野ばら氏を被写体にした写真集「short hope」に
軽いショックを受けました。
美しい方ですが、あの細さは痛々しい。
彼の『カルプス・アルピス』では、
「弱い心」と「強く生きようとする心」の相互交流・相互交換が描かれますが、
この物語はあの細い体の細い腕、細い指で書かれたと思うと、
また深くしみてくるものがあるようです。
「弱い心や体」によってこそ、私たちは救済されるのかもしれません。

1年ほど前、講演会で野ばら氏に会いました。
予想通り、会場に近づくにつれ乙女系の女の子の密度が増し、
会場に入ったらその手のファッションの女の子たちであふれかえっていました。
彼女たちといっしょに野ばら氏の訥弁に心配の眼差しを送り、
いっしょに笑って、楽しい一時でした。
彼女たちも、野ばら氏同様、優しい子たちなんだろうなぁと思います。

ウィキペディア>嶽本野ばら→

宮下マキ写真集「short hope」→

Amazon>『カルプス・アルピス』→