ここには、10日に一度くらいのペースで、すごく書きたいことがあってもなくてもそのペースで、何か書いていこうと思っているのですが、昨晩のコンサートのことは何が何でもすぐに書きたい。
去年の夏、東京都交響楽団のマーラーの5番を聴きに行った時、やたら目立つ一人の楽団員がいました。古川展生氏。東京都交響楽団の主席チェロ奏者である。
何で目立っていたかというと、演奏の合間合間に、彼はチェロの弓の解れた毛を抜いていました。そんなに解れてしまうほど激しく弓を曳いているということでしょうが、その何となく悠然とした感じに引きつけられました。演奏後にいっしょに聴いていた妻に訊いてみたら、やはり彼に目が釘付けだったというのです。彼女の場合はリハーサルの時、かの尊敬すべき指揮者の若杉弘氏が話している時に指示に真面目に耳を傾けているように見えなかったというのです(笑)。やはり、悠然としたものを感じたのでしょう。
後でその古川展生というチェロ奏者の人気を知りました。ソロでアルバムもたくさん出しています。それじゃ、ちょっとリサイタルにでも行ってみよう、と昨晩、蒲田のアプリコ小ホールまで脚を伸ばしたのです。
演目は、1時間30分バッパばっかり。さすがのバッハ好きの私も途中で飽きはしまいかと、ちょっと心配でした。ましてや妻は勇壮な交響楽が好みで、さらには最近仕事のためかなりの睡眠不足です。「眠らないかな」「だいじょうぶかな」とさかんに心配していました。
ライトが落ちて、古川氏が出てきました。
チェロを構えてしばし瞑目。
その後の、時には激流が迸るような、時には野原にそよ風が渡るような演奏に、時を忘れました。最後の「無伴奏チェロ組曲第6番」が終わりに近づき、演奏もいよいよ佳境に入り、その超絶的な指さばき・弓さばきはもうどうなっているんだがさっぱり分からないほど激しく、聞き入る私の血は一気に沸点に達しました。妻も眠るどころの騒ぎではなかったそうです。すごいバッパがあるものです。
今でも興奮さめやらないといった感じです。
大きなプレゼントをもらった気分でもあります。
古川さん、「ありがとうございました」
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