二昔ほど前、『赤毛のアン』を読んだ。
「どうせ子ども向けの甘いお話だろう」と高をくくっていたが、
とんでもない。
初めの数ページで、すっかりアンのファンになってしまった。
印象に残った場面はいくつもあるが、
その中の一つに、
アンがいろいろなモノに名前をつけるという場面があった。
たしか、孤児院から出てきたアンが
マシューおじさんに連れられて初めて家に向かう
馬車の中でのことだったと思う。
「この道は●●の小径」とか、
「この森は●●のすみか」とか、
アンは自分流に名前をつけて、
その場所とお友達になってしまう。
「愛すること」って何か難しいことのようにも思えてしまうが、
あるいはこのアンのように、何かを優しく見つめ、
自分なりに呼びかけ、その名を心に刻むこと、
ただそれだけのことなのかもしれない。
アンのやり方が気にいったので、
私もいろいろなモノに名前をつけるようになった。
今ギターでバッパの「シャコンヌ」を練習しているが、
曲の所々に名前をつけている。
「別の森から密やかな流れが流れいで」とか
「天と地の呼応」とか。
また、近所の散歩道にも、
「栗の坂」「犀星の道」「アンテナ横町」「染谷さんの階段」
などと名前をつけて、楽しんでいる。 |