同じように 歩く
ケンサク 2005/03/25(Fri) 18:43 No.270

「歩く」ことにこだわりたい。
デパートに入ってもエレベータを使わず、階段を探してわっせわっせと汗だくになって上る。
気に入った土地ならば、地図を片手に全ての道を歩いてみたい。
そして、日頃の運動不足を少しでも解消したい(笑)。

やってみたいことの一つに、「誰それと同じように歩く」というのがある。

今読んでいる下母澤 寛の『勝海舟』に、
海舟が本所から赤坂まで毎晩、蘭学を学びに先生のところに通うという箇所がある。
たとえば、その海舟がたどったであろう道を同じように歩いてみる。
そうすれば、海舟の蘭学に向けた情熱が、体感できるかもしれない。

山王書房の主人の関口良雄のお気に入りの散歩場所が「どどめきばし」という場所だということが分かったので、手始めに、彼の自宅からそこまで歩いてみることにした。
歩数にして1993歩。楽勝だ。
橋の上から、ゆっくりと、(関口氏になったつもりになって)夕景を楽しんだ。

尾崎士郎が毎晩通ったという「バー白蛾」まで
士郎の家から歩いてみるというのも面白そうだ。
辻まこと少年のように、溝の口あたりから多摩川をずっと遡ってみるのも面白そうだ。
だが、途中にぶったおれそうでもある(笑)。


  Re: 同じように 歩く
Rinko 2005/04/03(Sun) 11:06 No.271
 

とことこと歩いて、デザインルーンにおじゃましました。
こんにちわ。

古い本を読んでいると、誰それの家を訪ねるというのがよくありますよね。
しかも歩きで。
1時間は当たり前、半日ぐらいかけて歩いていく。
約束もなく出かけていって、留守だったら、帰ってくるんでしょうね。
でも、ビルの間を歩いたんじゃなく、原っぱにぽつんと建ってる家だったりして、
空間も時間も今と大違い。
あらためて、せせこましく、あわただしい生活をしているなって思います。

いい季節になりましたね。
満開の桜の下を歩くのがうれしくて、この季節になるとうきうきしています。
馬込のお花見スポットはどんなもんでしょう?



  Re: 同じように 歩く
ケンサク 2005/04/03(Sun) 16:45 No.272
 

Rinkoさま
いらっしゃいませ!

そうですね。
昔の作家たちはよく訪ね合ってますね。
「約束もなく」っていうのがポイントですよね。
だから、ダメって言われても恨みなし。
散歩の途中、窓の外から「おい、居るか」。
すると窓から「おう、今書き上げちゃうから待ってろ」って感じ。
訪ねて来た者は縁側でタバコを吹かしながら待っている。
で、それから飲み明かしですよね。
みんな貧乏してるけど、よく遊んでますね(笑)。

そちらは、もう満開ですか。
こちらは、1〜3分ってところでしょうか。
「桜並木通り」とか、福山雅治の歌で有名になった「桜坂」とかが歩いて行ける距離にあります。
町中の桜もいいけど、いつか原生林の中の桜の巨木を見てみたい。
宇野千代がらみで、三重県の薄墨桜にも興味ありです。


  Re: 同じように 歩く
Rinko 2005/04/04(Mon) 22:28 No.273
 

こんばんわ。
宇野千代さんのところを読みました。
武林文子と繋がりましたか?
人のつながりって、面白いものですね。

文子は40歳を過ぎて振袖、おかっぱ頭でシボレーの宣伝をした写真が残ってます。

無想庵ははじめフランスに辻潤を連れて行く予定だったのに
文子が行きたがったのだとか。それで結婚をした。
仲人は田山花袋。文子は無想庵と別れて宮田耕三と結婚して宮田姓。
このあたりに詳しいのが山本夏彦の「無想庵物語」。
辻潤、無想庵共にコキュ。

宇野千代さんも華やかですよね。
薄墨桜はお隣の根尾村です。
でも、たしか市町村合併があったような。

歴史のように、本を読んでいても、今、長生きだから
ちょっとした昔話に過ぎないってこともありますね。
楽しませて、いただきました。

では、また。


  Re: 同じように 歩く
ケンサク 2005/04/05(Tue) 08:10 No.274
 

Rinkoさま
ありがとうございます。

>武林文子と繋がりましたか
ええ、つながりました。
すごい人というか、激しい人というか、面白い人というか、素敵な人ですね!(?)
松岡正剛さんも取り上げていらっしゃいますね。
松岡正剛の千夜千冊 『あなたみたいな明治の女』→

上のサイトによると、文子って人、「絵のような美人」っていうから、
写真も見てみたいです。

『無想庵物語』は一度読もうと借りてきたのですが、
期限切れで返却、そのままになっています。
もう少し気持ちが盛り上がったら一気にいきます。

しかし、宇野千代から繋がってくるとは。
彼女にも『宮田文子』(昭和48年)というのがあるそうです。

>辻潤、無想庵共にコキュ。
え、辻潤も? 彼女に?
ってことで、「辻潤 宮田文子」で検索したら、面白い記事が出てきました。
文子は女優もやっていた?
しかも野枝役を?
「1960年 小森白監督『大虐殺 関東大震災と軍部』新東宝作品、天知茂、北沢典子主演。野枝役を宮田文子が演じる。」→

しばらく堀辰雄の世界にいたので、いろいろ刺激が強いですね(笑)。


迫真の演技
ケンサク 2005/03/17(Thu) 18:25 No.269

今、下母澤 寛の『勝海舟』(全6巻)に取り組んでいる。
読み通すことができたら、今まで読んだ本の中で一番の長編になるだろう。

この本を選んだ理由は、
著者の下母澤が馬込文士であることと、
また主人公の勝海舟がここ大田区といろいろと縁のある人物であること。
たしか、洗足池あたりに海舟の別荘と墓があったし(あるし?)、
例の江戸城の明け渡しについての西郷隆盛との密談は池上の本門寺でなされたと聞く(かなりうろ覚え)。
そこらへんのところも確かめたいと思っている。

下母澤 寛の『勝海舟』といえば、
かれこれ20〜30年ほど前、NHKの大河ドラマになった 。

渡哲也扮する若い勝海舟が、
睡眠時間を削り、体力の限りを尽くして、蘭学を学ぶという場面はよく覚えている。

勝海舟の頃は、蘭学を志してもそうそうと蘭和辞典なるものが手に入らない。
辞典一冊で家が一軒建つという時代である。
貧しい勝海舟には望むべくもない。
全財産をはたいて辞書を借り、毛筆で筆写する。
筆写するのは二部。
一部は自分が使うための辞書であり、
もう一部は売って、借金を返済しようというのだ。

辞書の筆写も相当進んだある日のこと、土砂降りの雨となる。
外出先から海舟が家に戻ると、あばら屋の天井からしきりに雨漏りし、
彼が苦労して筆写した辞書の束は濡れて全部ダメになってしまうのだ。
海舟は、その絶望感にうち勝ち、また初めから筆写していく。

勝海舟を演じる渡哲也は、目が血走り、悲壮感が漂っていた。
まさに迫真の演技であった。

じつは、渡哲也、そのとき重病にかかっていたのである。
暫くして、勝海舟役は松方弘樹にバトンタッチされた。

今、 下母澤 寛の『勝海舟』を読みながら、
ドラマの事や、ドラマを見ていた頃のことを思い出している。


超シンプル
ケンサク 2005/03/07(Mon) 16:29 No.267

図書館で、江國香織の『すいかの匂い』という本に目がいった。
彼女の作品は一冊も読んでいない。
たいそう人気がある作家のようなので、どれ、どんなものかと手にとってみた。

表紙イラストは、題名から推し量るに、すいかの絵のようだ。
だが、そのすいかの絵、3秒くらいで描けるような、そんな絵である。
すいかのシマシマもなければ、赤い果肉のつぶつぶの種も描かれていない。
あまりに簡単に描かれているので、思わず笑ってしまった。

これほどまでにシンプルに描かれたすいかを見たことがなく、
笑ってしまったが、「まいった!」。
安西水丸氏の作だという。

小説の方のお味も、極上。
なるほど、これは人気が出るわ。


始めに問題意識ありき
ケンサク 2005/03/01(Tue) 16:15 No.266

昨日、某雑誌の表紙ビジュアルの撮影で、八王子まで行った。
被写体になっていただくお方は大学を出てまだ5年という方。

まずはインタビューがあったのだが、彼の話に耳を傾けていて、
その話に引き込まれた。

彼は、研究者とか、開発者とか、デザイナーとか、一つの肩書きにおさまるような形では仕事をしていない。
「やりたいこと」があって、それに向けて総合的に関わっている。
「やりたいこと」は、つまりは彼の問題意識から発せられるものであり、
その解決に向けて研究があり、開発があり、デザインがなされる。

スタジオは、八王子市街と奥多摩山系に開かれた巨大な窓を持っていた。
パノラマを背に、彼は涼しげな眼差しで、「やりたいこと」を情熱的に語った。


『仮装人物』と大森ホテル
ケンサク 2005/02/17(Thu) 21:46 No.263

大森の古本屋、天誠書林の本を見て歩いている時、
ふと目に飛び込んできた一冊。
書名にどこか覚えがあります。
徳田秋声の『仮装人物』。

家に戻って染谷孝哉の『大田文学地図』をひっくり返してみたら、やはりありました。
大森ホテルが舞台になった小説として『仮装人物』が紹介されています。
また著者の徳田秋声も山田順子を伴って大森ホテルに泊まったことがある、とも書かれています。
『仮装人物』は、大森の馬込に縁のある一冊だったのです。

今日もまた、天誠書林に行きました。
書棚にまだ、『仮装人物』が並んいるのにほっとしました。
手に取って、外箱から本を抜き出してみました。
漉いた紙でくるまれた表紙に、シンプルに型押しされた裸婦の絵。
古さを感じません。

漉いた紙の毛羽だった手触りが温かく心地良い。

この本の購入をきっかけに、店主の和久田氏としばしお話をしました。
彼は在りし日の大森ホテルをご存じでした。
彼が学生の頃、今の山王公園のところに、木造2階建ての大森ホテルが建っていたとのこと。
かの堀口大学もこのホテルに逗留していたとのことです。