昨日の夕方、ぶらりと馬込文学散歩に出ました。
馬込文学の研究家、野村 裕の家と、
児童文学者であり明治大学の教授でもあった吉田甲子太郎(よしだきねたろう)の家を確かめようと思ったのです。
野村 裕の『馬込文士村の作家たち』によると彼の家の真ん前が吉田甲子太郎の家とのこと。
明細地図でも「野村」「吉田」と向かい合っています。
環状7号をNTTのところで馬込の方に入って小径をたどると、両側に両人の家。
2つの家とも、こじんまりと品よく佇んでいました。
ちょいと足を伸ばして、馬込図書館に。
民間委託になって、土・日も19時まで開館しているのが嬉しいです。
馬込文士関連の書籍が荒れがちなのに心痛めていましたが、
ここのところ管理が行き届くようになり、ほっとしています。
ありがたいことです。
図書館でのお目当ては、石坂洋次郎の馬込九州閣時代の作品とおぼしき『海を見に行く』。
ありました。最近、復刻された美本です。
最初の一行だけつまみ食いしてみましたが、意表を突く一文で、期待が高まります。
Rinkoさまが話題提供してくださった関口良雄関連の本も覗いてみました。
『関口良雄さんを憶う』という小冊子をぺらぺらしていたら、
野呂邦暢(のろくにのぶ)の「花のある古本屋」という一文がありました。
沢木耕太郎にも「花のある古書店」というのがあるとしたら、
同名の一文ということになります。
野呂の上の文章によると、山王書房には毎日違う花が生けられていたというのです。
前回の書き込みで、野呂がブールデルの(彫刻の)写真集を関口に値切って叱られたと書きましたが、
ちょっと勘違いしていました。
お金のなかった野呂は毎回関口に古本を値切っていたが、ある日叱られる。
しかし、野呂が故郷にいよいよ帰るというとき、
この期を逃したらもう手に入れることができないと思って、
ブールデルの写真集を、思い切って買ってしまうという話でした。
その時、1500円だったその本の代金の1/3を関口がどうしても受け取らなかったという話でした。
いい話です。こういった売買における心の交流こそ、商取引の基幹だと思いました。
経済の活性化なんかよりもね。 |